技術を売るってこと


 自分を安売りしちゃいかん。


 ってメッセージをいろんなところで見聞きするんであるが、安売りの定義ってよくわからかったりするのよねぇ。


 母が洋裁のプロ・・・っていうとなんかダサいが、元ファッションデザイナーで編み物の講師で、洋裁も教えていてっていう人で、見かけはそこそこ若いが、ちょっと話すとおばあちゃんって感じになっているものの、そういう方面の話になると、空気がかわる。


 そういう人に、今の自分の技術とそれをいくらで売るべきか?っていうのを世間話の延長でしてみた。

 それまでは、博多弁でぐっちゃらぐっちゃらどうでもいい感じの自慢話や愚痴をこぼしていたひとが、急に人生の師っていう感じのテンションになり、これはいくら、こういうのだったらいくらと私の技術に値段をつけはじめた。


 えええええええええええええええええええええええええええ!


 って思うくらい高いのよ。


 これじゃあ高いかな〜と思っていた私の相場の3倍くらい。
 これじゃ高いからお友達価格で安いけどこんなもんかなと思っていた金額の10倍ってのもあった。ぎゃはは


 洋裁とか手芸がらみの技術のなんたるかを知り尽くした人なので、親ながら説得力がある。



 そして、思った。



 あたしって、ほんとに自分の売るのが下手くそなんだわね。


「こげなとするとは、大変なっっちゃけん、こんくらいとってよかよ。そげん二束三文でやりなさんな(こういうことするのは大変なんだから、この位の金額とっていいわよ。そんな二束三文みたいな値段でやらないの)」と。


 ただ、これまで、母がいうところの「二束三文」でやっていたのを急に高級プレタポルテみたいな値段にするのは難しいな〜というと、「この人に頼んだから高いって思わせた方がよかよ。それやったらたのまんって思うくらいやったらそれはそれでよかっちゃけん」。はい、至極全うでございますな。


 親とはいえ、そのように言ってくれる人がいて、ちょっと心を強くした私ではありますが、実際にそういう場面に遭遇するとなかなか難しいわよ。とりあえずはやらない方向で。どうしてもって場合には、価格提示してそれでも私に頼みたい場合だけやることにしようかな。



 いい人でいるこたぁないわけだしね。